Column
坂崎幸之助さんがTHE ALFEEにもたらす柔らかい強さ
坂崎幸之助さんについて書こうとすると、どうしても最初にアコースティックギターのことが出てきます。THE ALFEEの大きなロックサウンドの中で、坂崎さんのアコギが埋もれずにちゃんと鳴っている。それだけでも十分に特別なのですが、魅力は「ギターがうまい」ではとても足りません。声も、話し方も、音楽を横で紹介してくれるような立ち位置も含めて見ると、バンドの奥行きがまた違って見えてきます。
まず声です。桜井さんの深く太い声と、高見沢さんの華やかなハイトーン。この二人に挟まれたとき、坂崎さんの声は曲をひとりで引っ張るというより、全体の温度を整えて、三人の響きをつないでいる感じがします。 柔らかくて、でも芯はある。親しみやすいのに、軽くはならない。この中間の質感があるから、THE ALFEEのコーラスはただ厚いだけでなく、人の体温が残っているように聞こえるのだと思います。 リードをとったときも、大げさにドラマチックにしようとはしません。言葉をまっすぐ届けてくれます。「聖夜 -二人のSilent Night-」や「Life Goes On」、「Journeyman」などは、特に好きな歌い方です。語りかけるような素直さがあるので、聴いている側との距離が急に近くなります。 大きな会場でも、どこかラジオの向こうから自分に向かって歌っているような親密さがあります。その一方で、「American Dream」のようなメタル寄りの曲でも違和感がありません。がなったりシャウトしたりしても声が潰れず、言葉のスピードとリズムが立っています。三人の中では、いちばんメタルのボーカルが似合うのではないかと思う瞬間さえあります。フォークの温もりから、かなりヘヴィなロックまで歌ってしまう幅の広さは、ボーカリストとしての底の見えなさだと思います。
それに、音楽の伝え手としての深さも大きいです。フォークや歌謡曲、GS、古いギターやレコードへの愛情を、知識をひけらかすのではなく、「これ、面白いでしょう」と隣で聴かせてくれるような話し方です。長く愛される理由のひとつは、そこにあります。
THE ALFEEは、高見沢さんの華やかさや桜井さんの美声に目が行きやすいバンドです。ただ、両端の個性が強いほど、真ん中で空気を整え、笑いに変え、音楽としてまとめ直す人が必要になります。ライブのMCでも、二人の間を行き来しながら、客席が置いていかれないように場をつくっている。坂崎さんがいるから、ステージ上のやり取りが内輪で終わらず、会場全体を巻き込む時間になるのだと思います。
アコギとエレキ、フォークとメタル、メンバー同士、バンドとファン。坂崎さんは、いくつもの境目をあまり力まずにつないでいます。声もギターも語り口も、決して押しつけがましくないのに、いなくなると全体の形が崩れてしまいそうなところがある。坂崎幸之助という人をよく見ることは、THE ALFEEが半世紀近く、あまり無理のないまま続いてこられた理由を考えることにもつながるはずです。